20 The Council of Elrond and Then


亮ちゃんの言葉を聞いたとき胸中に渦巻いた感情は、とても一言では説明不可能。
立ち上がった亮ちゃんに、真っ先に近付いたのは侑士だった。

「宍戸がそう決めたんやったら、俺も行くで。なんと魔法も使えるし、鬼に金棒やろ?」
「どうだか」

緊張でかちこちだった亮ちゃんの声が、少し穏やかなものへと変化する。
それから景吾が、あたしの手を柔らかく除けて、立ち上がる。

「俺様も行ってやるよ」

そりゃ、景吾がいれば心強いだろうし。
こうしちゃ居られない、あたしもついていくって言わなきゃ。

「自分も、行きます」
「俺も行くよ」

足手まといになってしまうかもしれないと。
そのとき思った。
怖くて、行きたくないことに対する言い訳だろうか。
・・・違う。みんなが居れば怖いことなんて何もないのだけれど。

「俺も行きますよ」

だから嫌なのだ、みんなが。
きっとみんながあたしを守ってくれようとするから。
最初の日、オークと戦ってくれた景吾みたいに。

「ちょっと待ったー!俺たちのこと忘れてるだろ!?」

会議に参加させて貰えなかったがっくんたちが、柱の影から飛び出してきて。

「おれも行くよー!」
「俺も行きます」

足手まといになっても良い?それでも良い?
9人に膨れあがった輪は、あたしの収まるべき場所がちゃんと空けてくれてあって。
真ん中で、亮ちゃんが笑っていた。

「置いてくぞ」

そうならないよう、努力するから。

「嫌だよ。あたしも行く」

だから何処までも連れて行って。

「指輪が結ぶ、10人の旅の仲間だ」



どっちみち、帰る場所は此処にしかない。